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貴公子や深窓の姫君が活躍する宮廷を舞台としたきらびやかな物語。しかし、その本当の主役は脇役たちだった――。主人公やヒロインはみずからの運命を切り開いているのではない。女房たちのもつ情報のネットワークこそが物語のゆくえを左右し、女房たちの誤解や思い込みがヒロインを悲劇へとみちびき、主人公たちの運命をくるわせているのだ。女房や脇役から王朝物語を読み解き、これまで語られてこなかった物語の驚くべきダイナミズムを明らかにする。気鋭の研究者が、多くの登場人物の息遣いがきこえてくるかのように鮮やかに描き出す王朝物語の世界と、そのあたらしい読みを提示する野心作。