１９４４年、生後１週間で出生した父は沖縄で戦死、母子2人で苦労しながらも周囲に見守られて育つ。「俺は死なん」と言って応召した父。「（息子を）一目見度い」と書き送られた軍事郵便を見るにつけ、父の心情に涙する著者は、見たくても見に来られなかった父の願いを叶えようと38年間、沖縄に通い続けている。いまだに遺骨が見つからない父とレイテ島で戦死した叔父。その遺骨を探す傍ら、著者は国内外の遺骨収集や遺品返還の平和活動に奔走する。沖縄では１０年間、数々のガマを探し出して遺骨などを発掘し供養。さらに北朝鮮での遺骨発掘にも出向いた。国に働きかけながらも自らが率先して平和活動に従事する著者は、在職中には劣悪な労働条件を改善させるために組合活動で活躍した闘士であった。幼少期の苦労から、数々の改善を勝ち取り労働者の地位を高めた熱闘時代、さらに古希を迎えた現在に至るまでの軌跡を、現政権への憂いと、近づくきな臭い時代への警鐘を込めてまとめた一冊。改めて反戦を誓う著者の心意気が篤い。