出版社コメント情報
天明の浅間焼け(大噴火)で壊滅的な被害を被った鎌原村。村の8割が死に、高台の観音堂に避難していた住民ら93名だけが生き残った。被害調査と復興のため、幕府から派遣された勘定吟味役の根岸九郎左衛門は、あまりの被害の大きさに言葉を失う。優秀な代官の原田は、莫大な費用を投じて復興するのは現実的でないと廃村を進言する。故郷の力を信じる根岸は、残された93人で新たに家族をつくり直し、村の「なんかもん」(生意気な若者)音五郎を中心に据えた村の再建を目指すが、住民達の心の傷は大きく難航する。さらに幕府側にも根岸を妨害する動きが--。「故郷」と「生きる意味」を問い直す物語。