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本書で述べるのは、「さまざまなことに『コア』と呼びうるものがあるので、努力をそこに集中すべきだ」ということです。「コア」とは、「核」という意味です。コア機能、コア商品、コアメンバーなどというように使われます。全体の中でコアが占める比率は量的には2割程度であることが多く、他方で、「コア」によって全体の成果や価値の8割程度が生み出される場合が多いのです。このことは、「2:8法則」とか「パレートの法則」と呼ばれます。したがって、努力をコアに集中させれば、仕事の効率は飛躍的に高まります。これを意識するかどうかで、結果に大きな違いが生じるのです。ところで、以上のことは、昔から知られていました。実際、「2:8の法則」という言葉を知らなくとも、多くの商店は、店舗に売れ筋の商品を置こうとします。また、ダイレクトメールを出すなら、コアの顧客を中心に出します。「重要なものを重点的に扱う」というのは、いわば当然のことなのです。では、なぜいま2:8法則についての本が必要なのでしょうか? それは、これまで2:8法則について述べた本は、つぎの2つの問題に対して答えを提供していないからです。(1)コアは、どうすれば見出すことができるのか? (2)コアが変化したとき、どのように対応したらよいのか? 「コアに集中せよ」というアドバイスを実行するために、これらの問題に対する答えが必要なことは明らかです。したがって、これらに対して意味のある答えを提示しなければ、有効なノウハウにはなりません。世の中には、ノウハウになっていない「疑似ノウハウ」が多いのですが、右の問いに答えを与えずに「2:8法則に従え」というのも、その例です。ノウハウとなるための最も重要な部分が欠落しているため、品質管理などの分野を除くと、2:8法則が実際に活用される例はそれほど多くありませんでした。この問題に対して解を与えようというのが、本書の目的です。