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友達じゃなくていい。彼氏も彼女もいらない。ゾンビがいたってかまわない。ぼくたちは、ただ〈居場所〉がほしいんだ。 第4回ジャンプホラー小説大賞、初の金賞受賞作は、ポップでせつない青春ゾンビ小説。イラストを手がけるのは、キュートでノスタルジックで不思議な魅力を放つイラストレーターのうえむら。 フィッツジェラルドに憧れるフツメンの大学生・藤堂は、文芸部でラッパーの松尾先輩、モデルでイケメンの白石、元ラグビー部の水口と一緒にゾンビを見に行った先で襲われ、ゾンビウィルスに感染してしまう。周りや母親からはちょっと避けられながらも、4人がたむろする文芸部の部室ではいつもどおりのモラトリアムな毎日。だけど、決して仲がいいってわけじゃない。 内臓から少しずつゾンビ化し始めた藤堂は、医者のすすめで「ゾンビの会」という自助グループに入る。そこで足を切断した少女・星宮と出会い、どちらかがステージ5のゾンビになったら殺す約束をしてしまう。そのうち藤堂は自分もステージ5が近いのを知り、最後の青春を謳歌しようと決意。その過程でバンギャみたいな女子大生・江波と知り合い、彼女も部室にたむろするようになるが、とある失敗で皆がバラバラに。藤堂は皆に居場所を取り戻してもらうために、小説を書くが…。 これは、ゾンビ化して自我を失うまで、ユーモアに生きようとする者の物語。そして、〈居場所〉を求めてゾンビのようにさまよう、孤独な者たちの物語。 なにかに夢中になれず、固い絆で結ばれた友達はおらず、彼氏も彼女もほしくない…でも、どこか〈居場所〉がほしいと願う人たちに捧ぐ青春小説。