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第32回小説すばる新人賞受賞作。選考委員・村山由佳氏 絶賛!「遠い時代を生きる主人公たちの運命に、こんなにも胸かきむしられるとは。新人離れした豪腕」海沿いの地にある鎌倉幕府。美しい景色とうらはらに、そこには陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻いていた。そんな中、若き三代将軍・源実朝のもとに、摂関家の姫・信子が嫁いでくる。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子だったが、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。一方の実朝も、信子が教えてくれた和歌の魅力に触れ、武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、ふたりを否応なく悲しみの渦に巻き込んでいく――。新世代の作家が描く、何度も心を揺さぶられる歴史恋愛小説。【著者略歴】佐藤 雫(さとう・しずく)1988年、香川県生まれ。2019年、「言の葉は、残りて」で第32回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。