病院の「放射線科」は、一般の人にとってはあまり耳慣れない、なじみのないものです。わりと身近にある内科や外科などと違い、何をどのように行う科なのか、想像がつかない人が多いのではないでしょうか。検査専門の科と誤解される場合もあります。　また、放射線と聞いただけで、なんとなく怖い、副作用が心配だ、髪の毛が抜けてしまうのではないかなど、マイナスイメージを抱く人も多いようです。　ところで、これまでがんといえば、まず手術。そして、再発や転移を予防するために、患部をなるべく広範囲に切除する考え方が主流でした。しかし現在は、患者のQuality Of Life ―治療後の生活の質を考慮に入れた治療法が優先される時代になっています。　その大きな治療法のひとつが放射線治療です。なぜなら、放射線を主体に治療できれば、体の機能や形態を失わずにすむ場合が多いからです。　本書では、がんへの治療を主に、種類や手順、方法、回数、費用、注意事項などを示し、放射線治療が安全で確実な現代医療に欠かせない療法であることを解説していきます。