出版社コメント情報
昔から私たち日本人の暮らしは、四季の変化とともにありました。自然の変化に即して、四季は二十四節気、さらに七十二候とまで細かく分けられます。五日ごとに風が変わってくるのを、暮らしの目安としていました。時の流れは昔も今も同じです。どうかすれば急ぎ足になる私たちですが、めぐりくる季節の移ろいをしっかりととらえ、無理をせず、生きていく充実感にあふれた豊かな日々をつなげていきたいものです。
故郷・福島で過ごした子どものころは、文明に頼らない自然とともにある暮らしでした。里山の暮らしは、のんびりしているようで、一年中休む間もありません。でも、そこには自分で物作りをする喜びと豊かさがあり、充実感に満ちていました。まさに、福島の方言でいう「までい(ていねい)」に生きる暮らしの原点がありました。今一度、その原点に立ち戻り、先人たちが熟成し積み上げてきた地を守り、常に豊かであるように、つないでいくのが、私たちの義務です。――野崎洋光