出版社コメント情報
北は五稜郭から南は首里城まで。本書は、著者が実際に見て歩いて聞いた、日本の名城の歴史を解説した紀行ノンフィクション。信長が夢をかけた城、秀吉・家康の天下を象徴する城、乱世の舞台となった城など、日本全国の31名城の秘密をユニークな「井沢式」攻城法で明らかにする。たとえば、本丸が残っていることで有名な高知城。この城は敵からの攻略にも耐えうるような工夫が随所に施されており、そのことが生き残りに成功したと思いがちだが、最も肝心な点は“一度も戦場になっていない”ことである。つまり、令和の今に残っている多くの城は、戦国乱世の戦災に巻き込まれなかった幸運な城でもあるのだ。姫路城や彦根城なども同様である。もっとも、現存するすべての城が平和だったわけでもない。愛知県にある犬山城は、幾度も戦争に巻き込まれながらも炎上せずに残った稀有な例である。さらに言えば、犬山城は徳川幕府が出した軍縮令・一国一城令で破棄される運命もくぐり抜けている。日本の名城の中には、現在、建物がまったく残っていない城もあれば、当時のままの遺構で世界遺産に登録された城もある。名城と呼ばれる条件は、まさに運不運。本書ではそんな日本の名城の魅力をその歴史とともに明らかにする。