出版社コメント情報
和食・和菓子・民芸品・人力車などなど「日本の伝統文化」風の商売が満ち溢れてはいるが、それは日本各地の観光地で見られる一般的な「和テイスト」に過ぎず、鎌倉独自の歴史が反映されたものはほとんどない。ましてや、江戸時代以来の街並みが残されているわけでもない。実は、現在の小町通りの商店街が形を見せるのは、近代の昭和になってからなのである。町なかのあちこちで見かけられるおしゃれな洋館やレトロな商店は、鎌倉散歩の魅力の一つではあるが、これまた明治以降のもの、多くは昭和になってからの建物である。つまり、現在の鎌倉が、江戸時代以前の鎌倉の姿をどれほど伝えているのかは、はなはだ心もとないのである。