出版社コメント情報
アールパード・ヴァイス――ファシズム政権下でサッカー選手、監督として活躍した彼の形跡は、歴史から消え失せた。指揮官として、3度のスクデット(セリエA優勝)とパリ万国博覧会カップ優勝。現代でも、彼の実績を上回る監督は多くない。そんな人物がある日、忽然と姿を消す。現代ではとても想像もできないが、彼の身にはそれが起きた。歴史、人種法、そしてホロコーストという名の“悲劇の風”が、彼を連れ去ってしまったのだ。1944年1月31日、アールパード・ヴァイスは、アウシュビッツでその生涯を終える。その2年前、彼の妻エレナ、12際の息子ロベルト、8歳の娘クララが送り込まれたのと同じ収容所のガス室で……。著者のマッテオ・マラーニは、20世紀の深淵からこのユダヤ系ハンガリー人監督の物語を引き上げるために、実に綿密な、ある意味何かに取り憑かれたような調査を、何年もかけて進めていった。その結晶が本書である。