世紀のマジックショーで何かが起きる!?　一枚の「予告状」で人の生命を操る謎の怪盗に稀代の奇術師が罠を仕掛けた！　　「上遠野ワールド」全開！　『ブギーポップ』の著者が描く好評シリーズ　　〈著者のことば〉　あなたはあまりに見事なマジックを見て、つい『もしや超能力では』と思ってしまったことはないだろうか。誰にも見破れない奇術がもしもあったら、それは奇蹟（きせき）と変わらないのではないのか。その区別がつかなくなったらどうなるか。辛辣（しんらつ）な現実を前に、手品はどこまでミラクルになれるものなのか──これは、そのことに挑んだ奇術師の物語である。しょせんは小手先のトリックとハッタリだけで彼らが立ち向かう相手はしかし、奇怪そのものの謎の怪盗だった。〈生命と同じだけの価値のあるもの（キャビネッセンス）〉を巡る異様な事態を前にして、彼らが最後に頼るのは計算でも技術でも運でもなく、不思議さがないのが不思議な変わった“少年”の先生で……。　　生命と同等の価値のあるものを盗む“ペイパーカット”の予告状が投稿サイトにアップされた。手品の動画の一場面だった。サーカム保険の調査員（オプ）伊佐俊一（いさしゅんいち）と千条雅人（せんじょうまさと）は演技者を訪ねた。だが、そのマジシャンはペイパーカットの秘密はいただくという不敵な宣言を残し姿を消す。やがて男は密（ひそ）かにマジックショーを企画。狙いは何か？　浮上する伝説の歌手との因縁（いんねん）……。謎の怪盗と男の関係は？　ライバルの女手品師、トリック作りの天才少年も巻き込み、世紀のマジックショーの幕が開いた！