出版社コメント情報
十津川警部を惑わす女の魔性─── 犯罪の陰に女あり! 銀座クラブママ、流行作家の妻、社長夫人……。立ちはだかる美しくも恐ろしい罠! 〈著者のことば〉「犯罪の陰に女あり」という言葉がある。小説の世界だけでなく、女性の存在が招いた事件は、実際に多い。色紙には、「人生は愛と友情と裏切りで成り立っている」と、書くことがある。男の側からすれば、「愛」と「裏切り」から連想されるのは、「悪女」ではないだろうか。「悪女」といっても、さまざまなタイプがある。男を惑(まど)わす小悪魔のような女性や、氷のようなハートを持つ女性も、悪女と言えるかもしれない。本書は、「悪女」をテーマとした短編を集めてみた。十津川(とつがわ)の前に現われるのは、どんな悪女だろうか。人材派遣会社の社長・山際卓郎(やまぎわたくろう)には殺したい女がいた。銀座クラブママの結城(ゆうき)あやだ。彼女の人脈と資金面の協力で山際は成功したのだが、それを恩に着せ傲慢(ごうまん)な言動が目立ってきたのだ。山際は殺害計画を練った。六本木(ろっぽんぎ)のあやの自宅に青酸カリ入りワインを置き、自分はアリバイ工作のため東京を離れるというものだった。あや死亡の吉報を出張先の大阪で待つ山際。だが、入った連絡は、あやが若いタレントの愛人を毒殺したというものだった……。意外な展開の結末は?(「だまし合い」)。十津川が「悪女」に挑む傑作短編集!