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被害者はなぜ、駅の命名権(ネーミングライツ)を買ったのか? 16年前の悲劇が哀切の真相を呼ぶ! ダイイングメッセージが自分の名前!? 十津川(とつがわ)は謎を追って銚子(ちょうし)へ! 〈著者のことば〉 取材で3回、銚子(ちょうし)電鉄に乗っている。銚子電鉄に乗ると、必ず犬吠(いぬぼう)駅でおりて、犬吠のホテルに泊まっているから、犬吠にも3回行っていることになる。取材が、銚子電鉄のことが多く、赤字対策のぬれ煎餅(せんべい)の話だったり、駅名を売る話だったりで、1泊する犬吠の海は、いつもおだやかだった。朝、ホテルで眼をさまして、窓の外を見ると、青空と、青い海と、有名な純白の灯台が眼に飛び込んでくる。一度でもいいから、荒れる犬吠の海を見たいのだが、そのチャンスを得ていない。その代わりに、犬吠で殺人が起きる小説を書いたのだが、果たして、荒れる犬吠の海の代わりになっただろうか? 東京Tホテルで殺された男が残した血文字「こいけてつみち」は、被害者の名前だった。死に際(ぎわ)になぜ自分の名を? 十津川(とつがわ)は、「小池鉄道」という駅が銚子(ちょうし)にあると知り、現地へ急行。銚子電鉄が駅名愛称命名権(ネーミングライツ)を販売、終点外川(とかわ)駅の権利を小池が買っていたことを掴(つか)む。さらに彼は駅前に事務所を開く一方で、住まいのある京都では広告会社の経営を続けていた。小池はなぜ駅の命名権を買い、銚子と京都の二重生活を送っていたのか? やがて16年前に犬吠埼(いぬぼうさき)で起こった悲劇が浮上した時、十津川が哀切の真相に迫る!