出版社コメント情報
追い詰められた男の起死回生の一手。「大物喰いだ」諦めの悪い火消が炙(あぶ)り出した、不審な付け火と人攫(さら)いの真相とは?番付(ばんづけ)のためか――。火消(ひけし)番付への関心は高く、お家の評判にも繋(つな)がる。その噂(うわさ)が人々の口に上りだす頃、ぼろ鳶(とび)組松永源吾(まつながげんご)は、無謀にも他の火消から手柄を奪おうと闘う仁正寺藩(にしょうじはん)火消柊与市(ひいらぎよいち)の姿を目にする。そんな折、火消による付け火を疑う読売(よみうり)書きが姿を消し……。真相を追う源吾らの前に現れたのは、火難の遺児を救い育て、「菩薩(ぼさつ)」と崇(あが)められる定(じょう)火消進藤内記(しんどうないき)だった。