出版社コメント情報
戦後の石油危機に民族主義はどう結びついていたのか?大東亜共栄圏を夢見たアジア主義者にとって石油は何を意味していたのか?資源ナショナリズムと天皇を中心とした日本民族主義とはいかなるものだったのか?出光佐三、山下太郎、田中清玄、杉本茂ら「資源派財界人」、保守傍流とされた岸信介、中曽根康弘らの政治家、ブレーンとなった中谷武世の思想と行動を明らかにする。本書は、戦後日本の「中東」概念を検討し、それが単なる資源保障論に基づく産油国という認識ではなく、戦前のアジア主義が形を変えた資源と密接に結びついた「民族主義」の影響を強くうけていたことを明らかにしたものである。関係者の聞き取りも踏まえ、資源と密接に結びついた「民族系資本」としての石油、資源ナショナリズムについて考察する試み。◎目次序章 戦後日本における中東:その定義と概念第一章:出光佐三とイラン石油第二章 山下太郎とサウジアラビア・クウェート石油第三章:田中清玄とアブダビ石油第四章 杉本茂とアブダビ石油第五章:中谷武世と中東補論:通商産業省と石油の自主開発政策