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世界経済の大変動を受けて、組織心理臨床の現場では、従来の心理臨床モデルが必ずしも通用しなくなっている。組織と関わる心理臨床の特徴として、個人の内界にばかり目を向けるのではなく、職場環境さらに組織全体を視野に入れたアプローチが必要となる。しかし、個々の実践家の臨床戦略が、相互の対話を通じて共有化されているかといえば、いまだ不十分な状況にあるといわざるをえない。この現状を打破し、組織への関わりのモデル化を模索していくことが望まれている。このような問題意識のもと本書では、組織の第一線で活躍するベテランたちが、組織ならではの困難や工夫、戦略について、自身の臨床経験をもとに証言する。心理職はいかに組織に関わるべきか。組織での実践はいかにモデル化できるのか。組織に関わる心理臨床家が、自身の取り組みを発展させていくために役立ててほしい一冊。