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2003年以降にデザイン誌「アイデア」で掲載されたタイポグラフィと和文書体関連の記事約30本を、400ページ以上におよぶボリュームで採録したコンピレーション。デジタル技術の革新によってデザイン環境がDTPへと移行した90年代半ば以降、国内外でタイポグラフィへの関心が高まったことを受け,誌上でもさまざまな事例や研究が紹介されてきた。本書はそのなかでも古今東西のタイポグラフィについての考察,和文書体や日本語タイポグラフィの歴史研究やレポート,タイポグラフィについてのブックガイドなどを中心に収録する。いまでこそタイポグラフィについての関連書は多いが,それ以前から先駆的に活動してきた執筆者たちによる技法にとどまらない理念や批評的視点は,「技法」が支配する現代にあっていまだに有効だ。タイポグラフィおよび和文書体に対する理解を深め,議論をつないでいくための,日本語を扱うデザイナー必読の一冊。