出版社コメント情報
お里は、髪結いの技に魅了され、自らも髪結いを志す。二人の師匠に導かれ、技を磨いていく。頼る人もいない不幸な生い立ちのお里は髪結いとして独り立ちするために努力を重ねていく。そして彼女を慕う弟子を預かることになる。自分を慕ってくれる弟子達の為に生きる事も自分の人生と決意を新たにする。お里の腕を信頼する常連もついてきて、順風満帆に見えたが、働きづめのお里の体に異変が表れる……。「私も先の事は何があるかわからない。お前達も技を磨いて、いずれ自分のお店を出してくれれば、これ以上の願いはないよ。これからは自分の力で生きていくんだよ。私には身寄りはないけれど、店にいる三人が私の娘だと思っている。私は幸せだよ」。恋も知らず、人並みの女の暮らしなど考える暇さえなく、髪結いになる為にしゃにむに生きた一人の女の生涯を、弟子達の人生模様も織り込んで描く時代小説。