出版社コメント情報
産後に自身の子に強い絆の感情を持てない親は少なくない。この心理状態はボンディング障害と呼ばれるが、研究によれば10%以上の母親が新生児に対して、ボンディング障害を示していた。この心理状態は1990年代半ばから周産期精神医学の領域で注目され始めた。以降、その状態像、発生要因、経過、育児態度への影響、治療・予防方法について研究が行なわれている。一方、当事者である親(母親と父親)は、そうした心のあり方が「自分だけのこと」「恥ずかしいこと」と考え、みずから支援を求めようとせず、孤立する。抑うつ状態にもなる。本書は、こうした親とその親を支援する人々に対し、ボンディング障害の架空事例と、その事例がどのように支援されてゆくかを提示し、当事者ならびに直接支援に当たる専門職者へ正しい情報と支援のあり方を提供することを目的とする。