出版社コメント情報
表題の「数え上げ」とは与えられた条件を満たすものの個数を求めることである。数学における「数え上げ問題」は組合せ論における古典的な問題で、特に代数的組合せ論などの分野で重要な役割を果たし、21世紀に入ってからも多くの興味深いテーマが研究されている。本書は、大学初年級に学ぶ線形代数の道具を用いて「LGV公式」、「平面分割」、「ダイマー模型」、「全域木の数え上げ」といった数え上げ問題とそれに関連する話題を紹介している。これらは表現論、可積分系、数理物理学などと密接に関係し、それらの分野への導入ともなる。本書は「線形代数の先にある数学」を垣間見せる窓であり、線形代数から専門分野へと導く道標の役目を果たしている。『数学セミナー』2010年4月号~2011年6月号の連載をもとにまとめた旧版に、幅広い応用をもつ「フック公式」を加えた増補版。