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『ニューヨーカー』で「必読書」!
アメリカをどう論じるか? 新大陸の発見からポスト冷戦期の今日に至るまで、それは「問題」であり続けている。戦後だけみても、リースマン『孤独な群衆』、アーレント『革命について』、ベラー編『心の習慣』など、数々の傑作が生み出されてきたが、今なお議論は尽きない。
ところで、こうした記念碑的アメリカ論の参照基準となってきたのが、アレクシ・ド・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』であることはほとんど知られていない。加えて、同書を書くきっかけとなった一八三一年のトクヴィルのアメリカ旅行にはこれまで関心すら払われてこなかった。
粗野と無教養で知られた庶民初の大統領ジャクソンの治世、西へと膨張を続ける一方、はやくも階級や人種問題が顕在化して分裂の兆候をみせるアメリカ―。本書によれば、トクヴィルが瞠目したのは、共和国の後景に広がる、そんな同国の姿だった。
大統領選で話題になったオハイオ州がなぜアメリカの「磁場」になっているのか等々、米国事情を知る上でも本書は興味深い。独立戦争と南北戦争に挟まれたこの時代は、アメリカ論の焦点として急浮上しつつあり、米誌『ニューヨーカー』もノンフィクション部門で「必読書」として絶賛! リーダブルにトクヴィルとアメリカを知れる一冊。