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一九七九年十二月に始まったソ連によるアフガニスタン侵攻は、たび重なる反乱に直面した共産党政権を支援するためのものだった。当初、ソ連軍の任務はアフガン軍を支援し、部隊の訓練・強化を行うという限定的なものだったが、やがて、米国やパキスタンの支援を受けたムジャヒディン(イスラム戦士)との全面的な戦争に巻き込まれていく。撤退までの九年間に約一万五〇〇〇人の兵士が戦死し、無数のアフガン人犠牲者を出し、双方に大きな傷を残した。
元モスクワ駐在英国大使の著者は、主にロシア側の詳細な資料に基づいて、アフガン侵攻について従来広く信じられてきた説(領土拡大主義による侵略だった、この戦争がソ連の解体につながった、など)を否定する。当初、ソ連政府はあくまでも軍事介入を避けようとしていた。また、政府の失策や戦略的誤りによって兵士たちが困難な状況に置かれたのは確かだが、ソ連軍はけっして戦争に負けたわけではないし、撤退も整然と計画的に行われたという。
軍事介入に至る歴史的背景から説き起こし、ソ連・アフガン双方の複雑な国内事情や、兵士たちが経験した戦闘の緊迫感とその後の厭戦気分まで、紛争の全貌を詳細に描く。冷戦期の神話を覆すアフガン戦史の決定版。