おすすめコメント
道化論の決定版、待望の復刊 〈道化〉とは何か。秩序と混沌、賢と愚、正気と狂気のはざまに立ち、愚行によって世界を転倒させ、祝祭化する存在。ある時はお調子者のトリックスターとして、ある時は賢なる愚者として、あるいはスケープゴート(犠牲)として、〈道化〉は大きな役割を果たしてきた。本書は、中世民衆の祝祭や宮廷道化、ルネッサンスの愚者文学、シェイクスピア劇から、北米インディアンの儀礼道化、サーカスのクラウン、映画の喜劇王チャップリンやキートンまで、元型的存在としての〈道化〉の系譜を辿り、境界を侵犯・超越するその機能を脱領域的に解き明かす、1960年代〈知性の夏〉が生んだ道化論の決定版である。〈道化の文化史〉を絵解きする貴重な図版多数。100頁に及ぶ「訳注をかねたフール小事典」に、特別付録として、本書に逸早く注目した山口昌男の記念碑的エッセー「道化と幻想絵画」(単行本初収録)他を追加収録。「1960年代後半、「魂の心理学」に人文科学全体が総力戦で当たった人文学栄光の刹那の、アプローチの自在、選ばれる対象の脱領域ぶり……両面における極致である」(高山宏)。「愉しい知的遊戯に満ち満ちている本」(山口昌男)