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勉強を強制するのでなく、子どもの自主性を尊重する、日本の学校教育の方針は、世界の潮流に逆行しているのか? 教育施策の決定に影響力をもつ教育心理学が「自律的な個人」をモデルにすることによって、社会階層差の拡大など社会全体のマクロな問題が見過ごされてしまうのはなぜか? これら最近の教育改革をめぐる議論を考えるために、重要な鍵になるのは「やる気」すなわち「動機づけ」の捉え方である。
本書では心理学の「動機づけ」理論の基本的な流れの解説に加え、勉強方法との関係、文部科学省による学習指導要領などの問題点をめぐる、精神科医・和田秀樹氏、教育社会学者・苅谷剛彦氏との徹底討論も収録しており、信頼性の高い内容となっている。
さらには「充実・訓練・実用・関係・自尊・報酬」の六つのポイントから「やる気」の志向を分類する著者独自のモデルも紹介されており、私たち一人一人が勉強や仕事への「やる気」を高めて維持するためにも、大いに参考になる内容。着実に売れており、10年を超えるロングセラーとなっているのもうなずける好著である。
自らの「やる気」を高めたい学生やビジネスマン、子供の「やる気」を高めたい主婦や教師にとって本書はまさにツボ。読み始めたら、ズンズン読み進んでしまうに違いない。