出版社コメント情報
駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分なりのパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、店名の「コテン」の由来もわからない。日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、愉快なお客たちがやってくる。ヒョウ柄のコートを着込む占い師に、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子。人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは――しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。冬森灯(ふゆもり・とも)第1回おいしい文学賞にて最終候補。『縁結びカツサンド』にてデビュー。著作に『うしろむき夕食店』など。