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ほんの10年前まで、デザイナー・ベビーと称されるヒトが出現するのはまだまだ先の未来のことだと思われていた。しかし、CRISPR-Cas9と呼ばれる遺伝子組換え(ゲノム編集)技術の発明により、その事態は一変した。この技術を利用することで、私たちはすでにデザイナー・ベビーをつくり出せる寸前の段階にまできているのだ。フィクションの世界がとうとう実現されようとする一方、ヒトに対して遺伝子組換え技術を用いることについての、安全性や妥当性、倫理面の課題などは、これまでほとんど議論されてこなかった。本書では遺伝子組換え研究の幕開けから、クローン動物の作製、体外受精の成功など今に至るまでの技術の進歩とそこでなされてきた議論に加えて、優生学、映画や小説のような社会・文化的な側面からもデザイナー・ベビーについて考察しており、迫りくる未来を考えるために必読の一冊である。