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今日、精神分析の臨床は、患者やクライエントの症状の意味を分析することから、人が生きることを抱え、共に考え、そして失敗することへとその力点を移している。意識と無意識、外と内、人間と動物、大人と子ども、日本語と外国語、普通と普通でない……〈私〉を分かつ社会の二分法や二重性をこえて、〈私〉が本来の在り方を確保するために。「心の台本を読む」「治療室楽屋論」など、人生の営みを演劇的なものと捉えてみること、そして〈私〉の心の台本に気づき、読み取り、かみしめること。かつて舞台人として楽屋を愛した著者の、独創的で体験的な〈私〉の時代の精神分析論。