出版社コメント情報
写真家・梅佳代の今作のテーマは、全寮制の中高一貫校に通う男子生徒たち。
“ナスカイ”こと那須高原海城中学校・高等学校を梅が初めて訪ねたのは2010年、栃木県の那須高原で開催された芸術祭のための取材だった。「新しい紳士たれ」の理念のもと、丘の上にあるキャンパスで中学1年生から高校3年生までの少年たちが学んでいた。時は巡り2012年春、再会の機会がやってきた。ただし、彼らは那須でなく、東京の多摩にいた。2011年の東日本大震災で校舎が被災し、「いつかは那須に」の思いを胸に、新たな地にキャンパスを移し再スタートを切ることになったのだ。授業、体育祭、文化祭、寮の部屋、卒業式――「会うたびに印象が変わる」10代、移りゆく季節を駆ける少年たちの姿を梅佳代はカメラに収めた。しかし、福島第一原子力発電所事故の影響もあり、学校は那須キャンパスでの授業再開を断念、新規の生徒募集を行わないことに決めた。そして2017年3月、ナスカイはその歴史に幕をおろす。