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命あるものは必ず死ぬ.その死体は次の命を生み育てるために使われる.そうして生命は引き継がれていく.本書は,友人から自然葬で死にたいという手紙をもらったことをきっかけに,生態学者である著者が森暮らしをしながら,野山で死を迎えた野生動物たちの死体のその後を記録した自然誌である.動物たちが死ぬと,それを栄養とする別の生き物(死肉あさり生物)たちによって摂取・分解され,命は受け継がれる.そのやり方について,多くの生物による興味深いさまざまな具体例が取り上げられる.細やかな観察眼と,文学作品のような筆致が重なって,死のあり方について静かに考えさせてくれる.