出版社コメント情報
戯曲は小説・詩歌・批評などと並ぶ文学の主要ジャンルの1つであると同時に、俳優・劇場・観客といった演劇の基本的な構成要素ともされている。戯曲の言葉は、「読まれる」とともに「話される」ことを前提としている点において、常に生きた人間の身体性に迫ろうとするベクトルを内包している。本書は、万太郎が自身の創作世界をどのように構築していったのかを、小山内薫らと始めた「古劇研究会」、小説と戯曲を溶解させたかのようなト書き、草創期のNHKラジオドラマへの深い関わりなどを通じて多面的に分析。万太郎の戯曲世界を豊かに読み解いていくものである。