出版社コメント情報
イスラーム改革派の一つである「サラフィー主義」は、「ジハード」を主張する過激な宗派と思われることが多い。また仏教国タイにおいて少数派のマレー系イスラーム教徒が多く住む深南部では、それまでの伝統的イスラームの儀礼をサラフィー派が「原点からの逸脱」だと批判し、イスラーム教徒内での対立が起こってきた。本書ではそうしたタイ国内の複雑な宗教的状況を踏まえつつも、サラフィー主義による教育が、分離運動を展開する「マレー・ナショナリズム」による暴力を鎮静化させているという事例をフィールドワークから導き出し、その意味を考察する。