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近年、「精神障害をもつ方々がその人らしく生活し、学び、意義ある仕事ができる地域づくり」が進められている。そのためには、本人と支援をする側とのパートナーシップが必要不可欠である。精神保健福祉領域における専門職の方々も、頭の中では、精神障害をもつ当事者の方々の立場を大切にして、リカバリーを支援し、より良いパートナーシップを築くことが必要である、ということはわかっている。しかし、それを実践することは容易ではない。本書は40年以上にわたり統合失調症とつきあい、その中の10年間は病院で暮らし、思い切って意見を述べたり、個人の権利を主張したりすることがいかに難しいことかを身をもって経験した著者が、いろいろ試してきたアイデアをまとめた本である。「すべての人に新しい方向性を選ぶ権利がある」のに「これまでと違った見方をすることは、たいてい簡単に否定されてしまう」と著者は言う。人は誰しも前へ進む力がある。困難な壁を前にしても、何度でも立ち止まり、考え込んでは話し合い、後戻りをしては信念を貫き、実現を目指す大切さを実感していただきたい。この本にはそのためのヒントがたくさん詰まっている。