アジアでいち早く近代国家を樹立したわが国は，当時の植民地支配地であった『外地』において，本国より遅れていた保健・衛生・医療環境の向上を目指し，医療設備の整備とともに，現地医師の養成のため，数多くの医学校を設立した。しかしながら，わが国が外地において設置したこれら医学校については，第二次世界大戦でのわが国の敗戦と混乱のなか，資料の損失や散逸が著しく，不明な点が多い。そのようななか，本書は，現存する数少ない資料や史料を丹念に収集・編纂し，当時の外地における医療衛生事情ならびに外地の医学校と現地医師養成