出版社コメント情報
携帯電話、モバイルパソコンに代表される情報電子機器の小型化、高性能化、省電力化の流れは留まるところを知らず、それらに搭載される受動素子も表面実装可能なチップ化が急速に進展している。積層受動素子は、セラミックス(酸化物)と金属電極が層状に積み重なって一体化(同時焼成)された複合体、―積層セラミックコンデンサの場合はチタン酸バリウムとニッケル(Ni)、積層インダクタの場合はフェライトと銀(Ag)、積層バリスタは酸化亜鉛とパラジウム(Pd)、積層PTCは半導体チタン酸バリウムとニッケル(Ni)積層圧電トランスは鉛系PZTと銀(Ag)―であり工学的に興味をそそる問題を含むとともに、従来の受動素子の延長というよりは、新しい受動素子といった方が適切である。 この積層(Multi-layer)に関する技術は、1961年にアメリカのJ.L Parkがテープキャステイング技術を積層セラミックスコンデンサ(MLCC) に適用した特許に始まる。その後、MLCCの父と呼ばれているRCAのB.Schwartzにより今日の多くの積層技術が開発され、同年、RCAにより最初の積層セラミックスコンデンサ(MLCC)が開発された。積層セラミックスコンデンサ(MLCC)は50数年の歴史を経て進化してきたのに対して、積層バリスタ、積層PTC、積層NTCはこの世に出たばかりである。 そこで本書はこのような観点から、現在の積層デバイス技術を幅広く紹介することを主な目的として、まずその基礎となる積層デバイス用材料、積層デバイス作製装置を述べる。そして次に、各種の先端の開発事例について、開発経緯、積層デバイス材料、デバイスの特徴、応用等を紹介する。 以上、本書の内容について説明したが、ここで説明する積層デバイス技術、種々の開発事例が、今後、積層デバイスの研究・開発に携わっている方々に、少しでもお役に立てば幸いである。 (「まえがき」より抜粋)