出版社コメント情報
高句麗の人々が営んだ古墳は独特の形状と内容をもち、さまざまな視座からの研究が行われてきた。本書では壁画に描かれた図像や題材のなかで、もっとも重要な対象である墓主像に焦点をあて、文献や金石文と照らし合わせながら体系的に考察する。 また先行研究ではなされなかった、同時期の東アジア地域の壁画史料との相関的検討を行う。麈尾や凭几など、壁画に描かれた威儀具・威信財にも着目し、それを持つ墓主の社会的位置づけや当時の価値観にも言及する。高句麗社会と文化の一端を復元し、古代のみならず、東アジアの歴史的時空の再構築をめざす労作。