出版社コメント情報
近世日本は世界でも有数の銅輸出国であり、銅は長崎貿易の重要な輸出品であり続けた。また国内ではさまざまな銅製品が流通し、さらに真鍮などの銅関連市場が活況を呈した。銅の生産・流通をめぐる研究は近世史上の重要なテーマでありながら、それをになった商人たちの実態を示す既知の史料が乏しく、未開拓の部分が多く残されている。本書は、その最大市場である大坂の銅商人社会が成立・変容する過程を軸にして、銅の生産・流通の歴史を通覧。住友家文書や初村家文書など関連史料を丁寧に読み解き、長崎貿易の動向・幕府の統制・相場の変動なども視野に入れながら論じた本邦初の銅の近世通史である。