出版社コメント情報
精神医学に於ける「心の研究」の前進のために 21世紀は脳の時代になると言われてきた。その期待は、半分は的中し、半分ははずれている。的中したのは、生体の活動を検査する医療工学の発展と生物現象の自然科学的研究の発展であり、これによって、活動中の脳の状態が観察できるような進歩があった。はずれたのは、心の研究の進展である。21世紀の精神医学は、心の現象の研究をただ整理することですませて、背景にある心の過程の研究を避けている。人間の心の理解は停滞し、あるいは、後退しつつある。心の研究が再び前進するのは、いつなのだろうか。その答を自分で作ることができる若い読者のために、この本を刊行した。(「まえがき」より)