出版社コメント情報
「・・・・・・・以上の要点をまとめておこう。本書では、まず、アパデュライが提出した「電子メディアによる「想像力の働き」が、国際移動を促す」という仮説を、「どのようにして若者たちはニューヨークやロンドンへの移動に文化的な動機を見出すようになったのか」という第一の問いで検証する。つぎに、移住者のアイデンティティに関する仮説を考察する。先に述べたように、「国境を越えるメディアの利用は、トランスナショナル・アイデンティティの形成を促す」と一部で議論されている。だが実のところ、インターネットや衛星テレビ放送が移住者のアイデンティティに与える影響を明らかにした調査は少ない。一部の移住者のケースではこの説は正しいのかも知れない。しかし本書のケースでは、日本人としてのアイデンティティが維持・強化される傾向が示された。そこで、「渡米・渡英後、若者たちのナショナル・アイデンティティはどのように変化するのか」という第二の問いを通して、この説を再検討したい。…(序章グローバルな文化のフローより)