出版社コメント情報
「雪女」や「のっぺらぼう」の話を日本古来の怪談と思っている人は多いのではないでしょうか。ほんとうは原話をもとにハーンが英語で書いたものから広がったのです。本書は、ハーンの再話(採話ではない)したものと原話を対照して、なぜこのように書き換えたのかを問いながら、ハーンの再話の魅力をさぐります。よく知られた「むじな」「雪女」「耳なし芳一」、そして「夏の日の夢」(浦島物語)などの深層にあるもの、さらには、「茶碗の中」や「安藝之介の夢」などの小品の喩えようのない魅力の秘密を、異なった〈時空〉へのハーン独特の感受性にあることを明らかにします。古いものから新しい魅力を生むハーン「再話」文学の魅力を全開した、文句なしの力作評論です。