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性を越境する異性装になぜ我々は惹かれるのか?古くは「鎌倉殿の13人」にも登場した男装で戦う巴御前から、男女の兄妹が入れ替わる「とりかへばや」、女形が男性役として女装する歌舞伎「三人吉三」、男装のヒロインが活躍するシェイクスピア「ヴェニスの商人」など、歴史の中の物語に異性装は多く描かれてきた。そうした物語にはどんな意味が込められているのか。また、それらは現代のアニメ、マンガ、映画、演劇、BLなどの文化(マンガ『花ざかりの君たちへ』『ベルサイユのばら』『ストップ!!ひばりくん!』、映画『君の名は。』、タイBL、男の娘、宝塚、スタジオライフなど)にどう生かされているのか。伝統的な男女観が崩れ、男らしさ、女らしさが問い直されている現代、異性装を軸にジェンダーの社会的、文化的な在り方を気鋭の研究者8人が論じる。●序論 「古典の中の性の越境者たち 物語、演劇に描かれる異性装」中根千絵●第一章 「異性装を解いた彼ら/彼女らはどこへ向かうのか」本橋裕美●第二章 「『とりかへばや物語』の変貌」東望歩●第三章 「異性装の恋 異性愛と同性愛が交わる場所」江口啓子●第四章 「巴 「女武者」の悲哀」森田貴之●第五章 「歌舞伎、異性装、そして『なりたい』女たち」日置貴之●第六章 「オールメイル上演の愉しみ方」阪本久美子●第七章 「稚児と〈男の娘〉」伊藤慎吾≪著者略歴≫中根千絵(なかね ちえ) 日本説話文学研究者、愛知県立大学教授。1967年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。著書に『今昔物語集の表現と背景』(三弥井書店)、『城郭の怪異』(三弥井書店)、『名古屋謎解き散歩』(KADOKAWA)●本橋裕美(愛知県立大学准教授)●東望歩(金城学院大学准教授)●江口啓子(豊田工業高等専門学校講師)●森田貴之(南山大学准教授)●日置貴之(明治大学准教授)●阪本久美子(日本大学教授)●伊藤慎吾(國學院大學栃木短期大学准教授)