出版社コメント情報
「本書が企画されるに至った経緯については、編者の手になる序の中で詳しく述べられているので多言は控えるが、未完成の交響曲が後の作曲家によって完全な曲に完成された例に倣い、『一般理論』発刊60周年に合わせて、もしケインズが1940年代後半まで生存していたならば、『一般理論』をどのように書き直し完全なものにしたであろうかを問題意識として、いわば『一般理論』第二版の内容とするにふさわしい関連論文の執筆を世界のケインズ学者に依頼し、集まった39本の論文を編集したものである。第1巻には、『一般理論』第一版の各章に対応して書かれた論文を集め、第2巻には、『一般理論』全体を概観したもの、『一般理論』の方法論を取り扱ったもの、ケインズと、マルクスやシュンペーターやカレツキとの各関係を論じたものなど、『一般理論』の各章のテーマからはみ出した論文を集めている。いずれの論文もケインズ学者の蘊蓄を傾けたもので、本書全体が、ケインズ一般理論再構築の一つの試みとなっているのみならず、20世紀中における(厳密には1995年頃までであるが)同理論研究の総括ともなっているといえる。」 (本書「訳者あとがき」より)