出版社コメント情報
本書は、個々の企業の市場価値およびそれを当該企業の発行株式数で割った値である理論株価がどのようにして決まると考えたらよいか、個別企業のミクロデータを利用して企業の市場価値を実際に推定する方法はあるかという研究テーマに取り組んだ結果をまとめたものである。このテーマについて、これまでは経済学的視点、企業分析論的視点からそれぞれ独立に研究が行われてきたが、本書は両分野の研究者による共同研究の成果である。分析対象はわが国製造業に属する代表的企業76社で、経済学的理論株価は個別企業の合理的な期待形成と動学的最適化行動に基づくモデルから推計された。 また、企業分析論的理論株価は同じ76社についてDCFモデルと割引超過利益モデルに基づいて推計された。さらに、それぞれの理論株価と実際の株価との比較を通じて、提示されたモデルによる株価の説明がどこまで可能なのか、また、理論株価と実際の株価の乖離をもたらす要因は何なのかといった点について、二つの視点からの考察が行われている。