出版社コメント情報
情報通信技術(ICT)投資が経済に与えるインパクトを理論と実証の側面から包括的に分析。本書は10章から構成され、公表された個票データと様々な計量経済学的手法を用いて、ICT投資が及ぼす経済効果について実証研究を行う。 第1部では、ICT投資の経済分析の起点となる生産性パラドックス及び生産性論争について、その背景を踏まえながらICT投資の研究動向と問題点を整理し理論的フレームワークを紹介。第2部では、主として有価証券報告書に記載されたデータを基にデータセットを構築し、様々な角度から日本の銀行業においてICT投資がもたらす経済効果の測定を試みる。第3部では、既存企業の財務情報に関するデータベースを基に、様々な推計手法を用いて企業のICT関連投資がもたらす経済効果の測定を試みている。第4部では、今後のICT投資に関する経済分析の展望と課題について議論を行い、日本において生産性パラドックスの存在は確認されていないことを示し、ICT投資の中でもソフトウェア投資が重要であることを示唆。継続的にICT投資の経済効果を測定することにより、企業レベルデータを用いた経済分析の可能性について考察する。