出版社コメント情報
本書は、中山間地域の小規模高校の存続条件を探るだけでなく、それが地域社会の再興と関わる事実について検討するものである。日本の中山間地域は、近世期までにその骨格を作り上げたと思われる。したがって、それが近現代資本主義経済の拡大・浸透過程で変化を余儀なくされることは既に早期から周知のところであった。しかし、この変化が、自然の循環、個人の生涯、社会の歴史などの諸視点から見て、必ずしも良好とはいえない状況をあらわにしていることもまた事実である。地域社会は再びその在り方を巡って、解決を迫られる課題に直面しているのである。こうした動向を見つめながら、後期中等教育までの教育を、地域社会がどのように担うことができるか、本書が少しでもその臨床を問う契機になれば幸いである。