捜査の密行性が求められる令状事務手続には，迅速さが要求される反面，個人の権利侵害に直結するため適正かつ厳格な審査要件が課されています。急速な情報化社会が進む中，情報処理の高度化等に対応するために，平成２３年に刑事訴訟法が改正され，新たな電磁的記録の証拠収集方法として，記録命令付差押え，リモートアクセスによる複写の処分等が整備され，平成２４年６月から施行されています。また，最近は，国税局，税関，証券取引等監視委員会，公正取引委員会等の行政手続に基づく令状の割合も増加しており，適正手続の要件も複雑化してきています。著者は，きわめて多様な事例に遭遇する東京簡易裁判所において，実際に令状発付の現場を担当する現職の簡易裁判所判事であり，本書は，その豊かな経験を活かし令状審査の理論と実務について，関連する判例等の根拠を示しながら解説した最新の実務書となっており，適正迅速な令状事務処理に少しでも役立つようにと思い，執筆されたものです。実際に職務を担当する裁判官，裁判所書記官等をはじめ対応官庁である警察，検察庁関係者や行政手続で令状実務に携わる関係官庁，また，刑事弁護等を担う弁護士等にとっても，貴重な参考書になっています。