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芸大を卒業後、「ステンレスで絵を描きたい」と企業の門をたたいた異色のアーティスト。ステンレスが透明になる? ステンレスが虹色に染まる? 一枚の絵から建築空間、そして土木と数々のワークを通して熱く語るステンレスの魅力! 坂上さんはステンレスを、彫刻の素材としたばかりでなく、立体絵画の「絵の具」として自在に使う技を編み、表現の幅を圧倒的に広げた……アーティストゆえの表現の可能性の追求は、結果としてステンレスの活用の可能性を高めて来た……それは、工場を持つ企業とアーティストが両方いて初めて成立するものなのである。これまでにこの世に存在したアートの素材の中に、そんなものはほとんどなかった……そして、それ以前にはありえなかった“ステンレス文化”が花開いた……アーティストは、子どものような遊び心と飽くなき探究心、夢中になる力、卵の殻を破る生命力などさまざまな力を持っているものだ。実はそれらは、企業、そして社会全体が必要としているものなのではないだろうか(本文より) ──── 美術評論家・小川敦生