出版社コメント情報
7世紀のインドの僧侶は何を食べ、どんな生活をしていたのか。671年、戒律を学ぶために海路によりインドに渡った唐の僧・義浄三蔵が、留学先ナーランダー寺での衣食住にわたる戒律の実態を報告した第一級史料の現代語訳、衝撃の文庫化。 *インドの僧侶が朝起きて、一番にすることは何か。感染症対策万全な食事内容とその方法とは。歯ブラシの使い方とは。トイレのしかたとは。私有財産の所有がほとんど許されない僧侶の遺産相続方法とは。遠方から来た客人を、どのように接待すべきか。葬式のきまりとは……。 *義浄が見たインドの戒律とは、自由を縛る「べからず集」と化した戒律とは大違い。過酷な気候と限られた時間のなかで、仏道の目的到達のために、あえてしなくてもよいものを省いていく経験則の集積であった。『南海寄帰内法伝』は、義浄が、感嘆をもって、故郷の中国や、途中寄港した東南アジアの戒律と比較しながらまとめあげた、空前絶後のインド留学レポである。