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環境法の中には,科学的不確実性を有する規制対象に対処するため予防原則,順応的管理などの考え方をとり入れているものがあるが,その仕組みは国によって異なる。それらは各国における法制度の制定経緯の違いに根ざしていると考えられる。本書は,今後,科学的不確実性を有する対象に規制措置を発動するにあたっての予防原則,順応的管理の適用場面やその程度を決定する際の参考になることを意識して,日本,米国,欧州の化学物質管理法をとりあげて検討した。それぞれの制定時や改正時における法規制の考え方などを把握し,制度の発展経緯と特徴を比較検討することにより,科学的不確実性に対処する際の法規制の適用領域とその限界について考察した。