出版社コメント情報
終戦まもなく非戦を語った幻の調査会の全容 幣原喜重郎内閣において、アジア・太平洋戦争敗戦の原因および実態の「徹底的」調査を目的として設置された、戦争調査会の事務局書類に関し、国立公文書館所蔵資料を中心にまとめた。調査会メンバーの個人文書などで断片的にしか知られていなかった本調査会の全容が、本資料集で明らかにされるであろう。第1部(政治外交)、第2部(軍事)、第3部(財政経済)、第4部(思想)、第5部(科学技術)で構成され、各分野の専門家が参集した。六十八の調査事項のうち、財政経済が二十五項目、思想が十三項目を占め、敗戦からの復興と戦後日本の平和構想に密接に関係した記録である。近年盛んである日本外交思想史、憲法制定の比較史、多国間主義と民主化過程といった研究分野において活用が期待される資料といってよい。また、研究領域が細分化された今日の研究状況にあって、戦後日本における非軍事化と民主化との関係性といった、権力と非権力の両面をふまえた歴史像を再構築していくにあたって本資料集刊行の意義は大きい。本資料集はこれまで顧みられることがなかった貴重な文書群を体系的に復刻・刊行するものである。